本アーカイブの利用方法

本アーカイブの使用方法を解説する.西田史料と田辺史料では史料群としての性格の違いから利用方法が大きく異なることに注意して欲しい.

西田史料利用方法

本サイトの西田幾多郎史料アーカイブは次の機能を持つ.

機能名称 機能説明
史料一覧 一覧表からの史料の表示とダウンロード
史料検索 史料名,出版年,史料の種類(手書き原稿,「校正」)による史料の検索
画像検索 画像名による画像の検索
史料閲覧 史料中の画像の表示とブラウジング
史料内筆跡検索 はこだて未来大学の画像検索システムにより,史料中の手書き文書画像を筆跡の類似性をもとにして検索
ダウンロード 各史料の画像やSMART-GS用のデータをダウンロード
全史料一括ダウンロード 全ての画像データをダウンロード
全史料一斉検索 SMART-GSを使って,すべての画像を一斉に筆跡検索

以下に,これらの機能を説明する.

史料一覧: 最も基本的な閲覧方法.史料一覧のリストの中から史料を見つけ,ブラウザで直接閲覧するか,画像のPDFファイルをダウンロードして自分のPCで閲覧する.

史料検索: 史料名,出版年,史料の種類(手書き原稿,「校正」)による史料の検索 To Write

画像検索:画像名による画像の検索 To Write

史料閲覧: 見つけた史料を閲覧する方法.史料一覧やが史料検索の[一覧表示]のボタンを押すと,画像が一定の枚数だけ大きく表示されるので,スクロールしながら閲覧する.

上の図に赤い楕円形の線で囲んだ示した右上のズーム用スライドバーを使うと画像の大きさを変えることができる.

上の図の赤の長方形で囲んだ[表示枚数]のボタンで表示枚数を10枚,50枚,100枚,全部から選ぶことができる.最初は,この図のように10枚になっている.次の10枚を表示させるには,

のようなナビゲーション用のボタンを使えばよい.この場合は史料の先頭にいるので,Next だけだが,位置により,Prev (前に),Top (閲覧中の史料の先頭へ),などのボタンが表示される.

そして表示中の画像の一つを選んでクリックすれば,それが大写しになる.

 

史料内筆跡検索:はこだて未来大学画像検索システムにより,西田用紙史料中の手書き文書画像を筆跡の類似性をもとにして検索する機能. 2012年1月4日現在では,No.2 史料「述語的論理主義」でのみ利用可能.使用例を動画でしめす.より鮮明な画像を見るには,これをクリック.また,YouTubeのページはこちら

最初は「判断」を検索.高い正解率で答が得られている. 2回目は「述語」を検索.こちらは,誤答の「主語」を正解より前に幾つかランクさせている.検索結果は,検索する筆跡の選択範囲などによっても変化するので,正解率が悪い場合は選択範囲を変えてやり直してみるとよい. 詳しい使い方は,はこだて未来大学のサイトにある,こちらのマニュアルを参照して欲しい.

 

ダウンロード: 各史料の画像は,[ダウンロード]ボタンを押すことによりPDFファイルとして一括ダウンロードできる.ダウンロードした画像の使用について,本アーカイブの規則を遵守しなくてはならない.

全史料一括ダウンロード:このサービスは,現在の処,Windows版のみで提供している.近い将来Mac OSにも対応する予定である.また,資料ファイルが大きいため,米国のサーバにある kyoto-gakuha.info からでなく,日本国内にある代表林のサイト www.shayashi.jp でダウンロードを提供している.

西田史料の画像すべてを一括でダウンロードするには,まず,下の三つのファイルをダウンロードする.

NishidaImages.part1.exe (サイズ:700M)

NishidaImages.part2.rar (サイズ:700M)

NishidaImages.part3.rar (サイズ:629M)

これら三つのファイルは,いずれも700Mほどある大きいものなので,ダウンロードにはブロードバンド回線が必要である.また,ダウンロードした画像の取り扱いについては,必ず,本アーカイブの利用規定に従わなくてはならない.

ダウンロードできたら,同じフォルダに置き,以下のビデオのように,NishidaImages.part1.exe を実行する. (高精度ビデオ画像 MOV)

画像の解凍には,5分以上かかる場合もあるので解凍が終わるまで気長にまつ.解凍が終われば次のビデオのように本アーカイブが提供する西田の画像すべてが入ったフォルダ NishidaImages ができている.(高精度ビデオ画像 MOV)

全史料一括検索:このサービスは,現在の処,Windows版のみで提供している.近い将来Mac OSにも対応する予定である.また,資料ファイルが大きいため,米国のサーバにある kyoto-gakuha.info からでなく,日本国内にある代表林のサイト www.shayashi.jp でダウンロードを提供している.

はこだて未来大学の西田史料筆跡検索では,No.01からNo.20までの各資料ごとの検索しかできないが,画像とDSCファイルをすべてダウンロードすると,歴史研究用ツールSMART-GS0.9により,自分のPCの上で,西田全資料の一斉検索が可能となる. これを行うには,まず,次の5つのリンクから,同名のファイルをダウンロードする.

NishidaFullSearch2012Sept.part1.exe (サイズ:700M)

NishidaFullSearch2012Sept.part2.rar (サイズ:700M)

NishidaFullSearch2012Sept.part3.rar (サイズ:700M)

NishidaFullSearch2012Sept.part4.rar (サイズ:700M)

NishidaFullSearch2012Sept.part5.rar (サイズ:162M)

ダウンロードした5つのファイルを同じフォルダに置く.この時,フォルダのパスに日本語や空白が入っていてはいけない参照).この赤い文字の文章の意味がわからない人は,5つのファイル置くフォルダを C:\nishidasearch にすればよい.Cドライブ以外に置きたいときは,別のドライブの nishidasearch というフォルダ,たとえば,D:\nishidasearch にする.

作ったフォルダに5つのファイルを置いたら,NishidaFullSearch2012Sept.part1.exe を実行する.そうすると,次のビデオのように解凍・結合が始まる.(高精度ビデオ画像 MOV)

このビデオでは,ダウンロードした5つのファイルは,C:\nishidasearch に置かれている.これは画像と検索用ファイルの量が膨大であるために,10分以上かかることがあるので気長にまつ.

図のように,Java, SMART-GS0.9というフォルダとReadMe_WithJavaVersion.txt ができていればインストールは完了である.

SMART-GS0.9フォルダには西田史料の画像も含まれているので,それらの画像の取り扱いについては,必ず,本アーカイブの利用規定に従わなくてはならない.

以上で準備ができたので,SMART-GSを起動して検索を行う.

1. SMART-GS0.9 というフォルダを開き,その中の SMART-GS-nishida-With-Java (拡張子を表示している場合は SMART-GS-nishida-With-Java.bat)というファイルをダブルクリックすると,まずひとつウィンドが開くが,何もせずにしばらく待つ.そうすると,もう一つ大きな Winodw が開く.そちらが,SMART-GSである.

2. Images というタブに 01, 02, ... から 20までのフォルダが表示されているので,例えば,01をダブルクリックして開く.

3. その内の 01_0001 というファイル名をダブルクリックすると,史料01 の第1ページ目である画像 01_0001.jpg の内容が表示される.

4. 「一般者」という手書きが青い四角(SMART-GSではRectangleと呼びます)で囲まれているので,この青い四角をクリックして選択する.

5. 四角が赤くなったら選択されているので,それを確認してからメニューバーの Search を開き,その中の Search という項目を選ぶ.(他に Text Search など二つの項目があるが,今回は関係ない.)

6. Search というタイトルがついたウィンドウが開き選んだ四角の領域や,いろいろなボタンが表示される.

7. メモリが2Gより小さいPCを使っている場合は,ここで,Options の Sequential ボタンを選択した方がよい.2G以上のメモリを積んだPCの場合は何もしない方で次に進む.メモリの大きさがわからない人は,Sequential ボタンを選択しておくことを勧める.

8. Search ウィンドウの一番下に Search と Cancel というボタンがあるので Search の方を押す.

9. しばらく待つと新しいウィンドウが開き,見つかった結果が表になって表示される. 検索には一般に長い時間がかかるが,最新のマルチコアのPCでメモリが4G程度スレッドが8本程度あれば十秒程度で検索は終わる.これは検索するファイルをいくつかに分割して,DscSearch を複数起動して並行に検索しているからである. 表示されているのは見つかった結果すべてではなく一部であり,Next ボタンを押すと,次の候補が表示される.グーグルのような検索エンジンで検索結果を順に見ていくのと同じである.

10. カーソルを検索された結果に合わせると,その周辺が表示される.

11. また,結果をクリックすると,その結果がある画像が別ウィンドウで表示される.

検索速度はPCの性能により大きくことなる.下の「検索速度の事例」を参考にして欲しい.凄く時間がかかる場合には,Options の Concurrent, Sequentialの選択を変えてみたり,2M-200Mのスライディングバーの値を変えてみる.それでも5分,10分とかかるようならば,もっと性能の高いPCを使うしかない.

画面を右クリックしてでてくるメニューから Rectangle を選ぶと,上記の「一般者」を囲んでいた四角と同じものを自分で描くことができる.それに対して,上記と同じことをすれば,囲んだ部分に似た筆跡の部分を検索できる.

終了するときは,メニューの File から,Exit を選ぶ.データを保存するか聞かれたら,保存しないを選択して終わる.

詳しい使い方は,SMART-GS 0.8, 0.9マニュアル検索の章を参照して欲しい.

1から8までを行っている様子を撮影したものが次のビデオ.(高精度ビデオ画像 MOV)

9から11までを行っている様子を撮影したものが次のビデオ.(高精度ビデオ画像 MOV)

注: 例えば,デスクトップのフォルダでは,パスに空白が入ってしまうので,デスクトップに置いてはいけない.これは検索をするときに呼び出しているはこだて未来大学の DscSearch という検索エンジンが,この様なパスに対応してないためである.SMART-GS 自体は,この様なパスにも対応している.ただし,Linux, Mac, Winodows のすべてに対応できるように,SMART-GSでデータを保存するパスなどを作成するときには,これらの共通したものでないと作れないようにしてある.詳しくは,SMART-GS 0.8, 0.9マニュアル初期設定の章の”Linux, Mac での利用とデータ共用を参照して欲しい.

 

田辺史料利用方法 2014.10.05更新

現在の段階では,本アーカイブでの公開は各資料から数ページのサンプルにとどめ,全ページの公開は研究者に限定しているが,今後,順次,多くの資料を全面公開する予定である.しかし,これには大きな手間がかかるので,相当な時間がかかるものと思われる.未だ全面公開されていない田辺史料を研究用に利用したい研究者は,サンプルなどで必要な史料を決めた上で,その史料の利用を希望する旨,本アーカイブに連絡をとって欲しい(連絡先:京都大学大学院文学研究科 日本哲学史専修).原則として本アーカイブから該当画像をお渡しする.

また,田辺史料は,アーカイブ上ではなく,これらの画像データ,筆跡検索用用データ,翻刻データなどを本アーカイブから取得した上で,自分のPC上で,画像閲覧ツール(たとえば,Windows フォトピューアー)やSMART-GSを使って閲覧し研究するのが原則的な利用方法になる.

SMART-GSを使うための準備 方法と機能
インストール こちらを参照.ファイルをダウンロードして解凍するだけで使える.
基本データの導入 画像についての情報や翻刻を含む gsx ファイルが,本アーカイブから画像史料とともに配布されるので,それを指定したフォルダに置く.
画像データの導入 本アーカイブから配布される画像史料を指定したフォルダに置く.自分でSMART-GSのフォルダを作り整理しなおすことも可能.こちらを参照.
筆跡検索用データの導入 本アーカイブから配布される筆跡検索用データを画像を配置したフォルダ内の特定の場所に置く.自分で筆跡検索用データを作ることもできるが,これはPCに慣れていないと難しい.とはいっても,普通にPCを使える人ならばできる.実際,本アーカイブの筆跡検索用データは,すべて文系の学生・院生のアルバイトで作成されている.こちらを参照.本アーカイブが所有しない検索用データを作成したい人は,作成のためのノウハウをお伝えするので,本アーカイブに相談して欲しい.

資料番号1210090005「昭和9年講座」のSMART-GS用データの使い方
配布中の SMART-GS 0.9.3 がインストールされていることを前提に説明する. SMART-GSのトップのフォルダの中に smart_gs というフォルダがある.配布されたシステムでは,この smart_gs フォルダのサブサブフォルダ smart_gs\images\LectureNotesS09_ver2 にサンプルとして,昭和9年講座の53枚の画像の内、最初の5枚と、それに関連するファイルやフォルダが置かれていいる.これに残りの画像とそれに関連するファイルを追加する.まず,田辺史料のページ資料番号1210090005から,あるいは, ここから LectureNotesS09_ver2.zip をダウンロードする.このZIPアーカイブを解凍して出来る画像とその関連ファイル *.segfo, *.xml と一つのフォルダ dsc を,smart_gs\images\LectureNotesS09_ver2 にコピーする.最初からある5画像とその関連ファイルは上書きすればよい.これで全画像が使えるようになる.配布中の SMART-GS では最初の5枚分の翻刻しか入っていない.その後に作られた翻刻は,田辺史料のページの京都大学田辺元史料研究会のコーナーに置いてある.そこから,gsx ファイルをダウンロードし,smart_gs\gsj に置くと,それを SMART-GS で開くことができるようになる.また,起動時に,そのgsx ファイルが自動的に開くようにするには,メニューバーのPreference の Date Directories & Files Setting の Default GS File を希望のファイルに設定すればよい.

SMART-GSによる本アーカイブ田辺史料の研究方法

準備中です.

京都大学田辺元史料研究会では,昭和9年特殊講義の翻刻・解読を進めている.この文書は種の論理が,その中で生まれた重要な講義であるにも関わらず50年近く読み解くことができていなかった.田辺元史料研究会は,京大文学研究科現代文科学系で開発された,リアルタイム協働翻刻という新しい翻刻方法を使い,夏休み前の講義に相当すると思われる部分まで,ほぼ解読に成功した.その結果,マックス・シェーラーとマルティン・ハイデガーの哲学,特に前者が与えた大きな影響が判明し,さらには,「論理の社会存在論的構造」(昭和11年)で導入され,種の構造や,絶対弁証法,晩年には懺悔道の絶対還相やハイデガーの後期思想などの分析に多用された数学の「切断概念」の形而上学的理解のルーツと思われるもの,また,種の論理が生まれた瞬間を記録したものと思われるメモ,などが発見され,代表林により論文として発表されている.(参考文献:岩波「思想」2012年1月号,論文史料紹介京大日本哲学史専修2012年紀要論文)

この史料が読めなかった理由は,この史料が講義準備の推敲のために書かれており,試行錯誤の走り書きであり,日記の筆跡に比べても読みにくいほどの文書であることと,ドイツ語,英語,フランス語,ラテン語,ギリシャ語などの単語が多数入り混じり,哲学,宗教だけでなく,自然科学,数学などの専門用語も多数使われているからである.特に,田辺の崩し字は,独特我流のもので,出版用の原稿などを別にすれば,弟子たちにも読めなかった.同じ時代の他の重要な日記の研究者も匙を投げるほどの,この文書の解読・翻刻に成功したのは,従来の翻刻方法とは異なる研究者の集合知を利用するリアルタイム協働翻刻という新しい翻刻方法が使われたからである.これはプロジェクタでSMART-GS内の手稿の画像と,その部分的翻刻を投射し,様々な分野の研究者が,それを見ながら分析・修正するという方法である.この方法をWEB上で行えるようにする研究も始まろうとしている.

このコーナーでは,田辺史料分析,さらには,同種の難読史料の分析を容易にするために,この手法をビデオなどで公開する予定である.